17 子曰、爲政以徳、譬如北辰居其所而衆星共之
爲政第二 1
爲政以徳、譬如北辰居其所而衆星共之
政を爲すに徳を以ってすれば、
譬えば北辰の其の所に居りて、
衆星の之を共(めぐ)るが如し。
今の乱れた政治を見るに付け、
当時の乱世に生きた孔子が
夜空に美しく輝く北天の星座を眺めて
こう呟いた気持ちがよく分かる気がする。
武力や駆け引きばっかりで動く世情を憂えて
さすがに天界には理想が見えるなぁと…
共という字は竹内・貝塚両氏の訓によって「めぐる」と読んでおいた。
共は共和の共(ともにする)でもあるし、
供職の供(やくだつ・ささえる)でもある。
共はもともと「手でささえる」「手にたもつ」の意味から
「共にする」に派生したといわれる。
北極星を取り巻き支えあいながら美しくその姿を保っている
北天の星座の運動を秩序の理想型とみたのは確かだろうと思う。
人間が神霊や強力に依らずに
人間自体の「徳というちから」で政治秩序を保ち
社会生活を自分たちで動かしていけるという確信を
このように美しい言葉で述べたことは
孔子の手柄で有り、人間中心主義という
儒教の優れた一面をここに見ることができる。
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