2012年6月17日日曜日

君子不器

28 子曰、君子不器。
子曰く、君子は器(き)ならず。  論語  爲政第二  12


器は器物、君子は人物。
見かけ上は「君子は器ならず」というのは「人物は器物にあらず」と蛇足を言っているようであるが、この「器」は「器用」というときの意味をもつ「器」だという。実用性と専用性を備えた道具・手段としての器。武器、楽器、食器etc.

思い出すのは、
玉不琢、不成器。
琢(みが)かざれば器()成らず。
という一句。
用途の完成された時に「器」というのだ。
玉が玉器に成る。

器でなくとも玉は玉なのだ。
そして
琢かなければ用に足りず
磨いて固有の用を持つとしても
それは「君子」としての用には足らない…

器になってはいけない。
器であってはならない。
いや、「器であるだけではいけない」
という意味だろうから、
孔子は完成された器の様々な美質と効用を知りつつも
君子はやはり「器」ではないな、と思ったのか。


「君子は機械ではない」という意味の教訓的言辞というよりも、
「(君子たる)人はやはり原石のようであってほしい」
という気持ちを述べたのではないか。

君子は用に対応して
基本から考えて処方を与える自在さが必要だから、
「琢かれた」器ではない「器以前」をも考えてしまうのだ。

「使える漢(おとこ)」はまだ君子とは見なせない、
というのが孔子の意見らしい。




0 件のコメント:

コメントを投稿