2011年7月12日火曜日

知之者、不如好之者

【雍也第六
140 子曰、知之者不如好之者、好之者不如樂之者。

子曰く、知るは好むに如かず、好むは楽しむに如かず。


わかるなぁと思う人も多いだろうこの言葉。しかし誰に言ったのだろうか。
顔回に言ったのであれば学問のことだろうし、子路に言ったのならば他のことだろう。

リズムの有ることばだから、口語のひびきを残していると思う。
或いは当時既にあった諺を孔子がある場面で口にしたとも考えられる。
「何かは別の何かより勝りそれより別のもうひとつのほうがもっと勝る」
というパターンの諺は多いからありうると思う。

「詳しい人と言ったって好きな者にゃ敵わぬわな、その上、好きな者だって敵わないのが居るな、
物にしちゃって楽しんでいる者だよ」

知るということ:無知から知へ、無から有への移行。
好むということ:もっぱらにすること、自己の対象として有つこと。
楽しむということ:自由自在であってこそ「楽」になるのであり、
そのとき楽に達した人にはそれは「楽しむ」「楽しい」状態である。
楽と自由と充足こそ達人の境地なのだ。

昔風に「之を知る者は之を好む者に如かず」と読みたくない。
「知るというは好むというに如かず」と平易に読みたい。
そのほうが孔子に近い距離で聴いている気分がするのである…ひとりよがりか。

どうも学問より技術や芸術についての発言のような気がする。
顔回なら学問を楽しむ境地にいたのかも知れないが
他の門人はどうだろう。

技術や芸術は修練・実習とセンスを磨く精進で「楽」の境地に近づきうるのではないか。



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