和郭主簿 陶淵明
藹藹堂前林,
中夏貯清陰。
凱風因時來,
回飆開我襟。
息交遊閑業,
臥起弄書琴。
園蔬有餘滋,
舊穀猶儲今。
營己良有極,
過足非所欽。
舂作美酒,
酒熟吾自斟。
弱子戲我側,
學語未成音。
此事真復樂,
聊用忘華簪。
遙遙望白雲,
懷古一何深。
中夏に 清陰を 貯(たくは)ふ。
凱風(がいふう) 時に因(よ)りて 來り,
回飆(くゎいへう) 我が襟を 開く。
交(まじは)りを 息(や)めて 閑業に 遊び,
臥起 書琴を 弄す。
園蔬 餘滋 有り,
舊穀 猶(な)ほ 今に 儲(たくは)ふ。
己(おのれ)を營(はか)ること 良(まこと)に 極り 有り,
足(た)るに過(す)ぐるは 欽(ねが)ふ所に 非ず。
(じゅつ)を舂(つ)きて 美酒を 作り,
酒 熟すれば 吾 自(みづか)ら 斟(く)む。
弱子 我が側(かたはら)に戲(たはむ)れ,
學を 語ぶも 未だ 音(おん)を 成さず。
此の事 真(まこと)に 復(ま)た 樂しく,
聊(いささ)か 用(もっ)て 華簪(くゎしん)を 忘る。
遙遙(えうえう)として 白雲を 望めば,
古(いにしへ)を 懷(おも)ふこと 一(いつ)に 何ぞ深き。
【和郭主簿二首】
清明の日、過の書を誦するを聞く。聲節、閑にして美なり。
感じて少時を念う。悵然として先君宮師之遺意を追懷す。
且つは淮、德の二幼孫を念い、以って自ら遣る無し。
乃ち淵明の二篇に和す。意の寓する所に隨い,複た倫次無き也。
今日複何日 今日は複た何の日ぞ
高槐布初陰 高槐 初陰を布く
良辰非虚名 良辰 虚名に非ず
清和盈我襟 清和 我が襟に盈つ
孺子卷書坐 孺子 書を卷いて坐し
誦詩如鼓琴 詩を誦すること琴を鼓するが如し
卻念四十年 卻って念う四十年
玉顏如汝今 玉顏 汝が今の如し
閉戸未嘗出 戸を閉じて未だ嘗て出でず
出為鄰里欽 出でては鄰里の欽ぶところと為る
家世事酌古 家世 古に酌むを事とし
百史手自斟 百史 手に自ら斟む
當年二老人 當年の二老人
喜我作此音 我が此の音を作すを喜ぶ
淮德入我夢 淮、德、我が夢に入る
角羈未勝簪 角羈 未だ簪に勝えず
孺子笑問我 孺子 笑うて我に問う
君何念之深 君 何ぞ之を念うこと深きかと
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