2011年5月11日水曜日

「からだは星からできている」の佐治博士も「論語」

 孔子に学ぶ礼と処世の極意 と題して闘病中論語に回帰した体験談を…

 年度末から年度始めにかけて、自分の生物学的年齢を省みる余裕もないほどの仕事量と不摂生のつけが回ってきて、半月以上も体調を崩し、いまだに引きずっています。ただひたすら来る日も来る日も寝室の天井とのにらめっこが続くと、自分の意志とは関係なく、過ぎし日の記憶が走馬灯のようによみがえり、今回は、ふと六十余年昔の高校時代に初めて出会った「論語」の一節が突然に天井に描き出されました。
 学而第一として始まる冒頭の部分です。

 「子曰く、学んで時に之を習う。また悦ばしからずや。朋あり。遠方より来る。また楽しからずや。人知らずしていきどおらず。また君子ならずや」。これは一般的に知られる原文からの訓読で逐語訳ですから、いまひとつ心に響くところがありません。外国語の翻訳が持つ宿命的困難です。意訳に走れば、原文からのズレが生じてしまい、さらにそれを補うために、新たな言葉を付け加えたりすると、翻訳は原作者の作品を離れて、訳者の全人格を反映した作品にかわってしまいます。そこで、逐語訳に意訳を併記しながら、一字一訳にこだわらず、日本語をその原文の外国語に翻訳するような気持ちで表記してみたくもなります。語学は素人の私ですが、ヨーロッパ言語による詩歌を翻訳する場合に使ってきた手法で、自分の体験の延長線にその詩歌との接点を見つけるような読み方です。 ……


佐治晴夫博士のプロフィル
 理学博士。鈴鹿短大学長。大阪音楽大大学院客員教授。東京生まれ。
東京大物性研究所、松下電器東京研究所、横浜国立大などを経て、04年から現職。
宇宙創生にかかわる「ゆらぎ理論」のほか、宇宙研究の成果を平和教育へのリベラルアーツ
であると位置付け、全国の学校への授業行脚などで知られる。JAXAの宇宙連詩編纂委員
会委員長。「宇宙の不思議」「夢みる科学」「からだは星からできている」「女性を宇宙は最初
につくった」「14歳のための物理学」など著書多数。

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